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ようやっと時間を作って、重い腰を上げました…。

一昨年、かつて札幌市中央区はサッポロファクトリーに存在した「サッポロスプリングス」についての記事をなんとなく書いてみましたが、その後なんと当時の関係者の方からお話を聞くことが出来たので、改めて記録としてまとめることにしました。
今回は、プール部分の施設に関するデータです。

とりあえず、基本データを。
サッポロスプリングスは、サッポロファクトリーの中核を担う都市型温浴施設として、ファクトリーと共に1993年にオープンしました。
施設のプロデュースは榎本了壱氏(http://www.atamatote.co.jp/)、設計は竹山聖氏(現・京大教授)、設計組織アモルフ(http://amorphe.jp/)によるもの。
メキシコ・テオティワカン遺跡をモチーフとし、「掘り出し感覚」を意識してデザインされたといいます。
ちなみに、アモルフ社のサイトからは、スプリングスの貴重な内部写真2枚が閲覧可能。
(WORKS→Buildings→1993)
「大人の空間」を意識し作られた施設は、随所に高い芸術性を持っていました。
が、集客のほうは芳しくなかったようで、90年代末にはワンデイスパに営業譲渡&施設名変更、更に数年後にはナムコへ経営が移り「温泉リゾートサリア」となり、ナムコ撤退後も「スパリゾートサリア」として営業を続けた後、2009年初頭に営業を終了。現在跡地はオフィススペースになっているそうです。
スプリングス時代の画像はネット上にもほとんど転がってないですね。画像検索をかけるなら、営業譲渡後の「ワンデイスパ」「温泉リゾートサリア」なんかのキーワードのほうがよく見つかります。

では、プール部分の各施設を解説しましょう。
図を用意したので、それを基に進めていきます。


酷い図ですね…描画ソフトで手書きした結果がこれです。勘弁して下さい。
とりあえず進めます。

1. メインプール
施設中央部に位置する一番大きなプール。
最長部で23mと、一般的な短水路プールよりやや小さいサイズです。
このメインプールの上部には、大きな船の模型が天井から吊り下げられており、夜になるとライトアップされた幻想的な姿が浮かび上がります。
「水没した古代都市遺跡」の水底から、水面に浮かぶ船底を見上げるイメージだそうです。

2. キッズプール
メインプールから溢れ出た水が、斜面を緩やかに下って坂下に溜まる構造の浅いプールです。
キッズプールとは言いつつも、斜面に滑り台を設置しなかったのは、あくまで大人の空間のイメージを壊したくなかったから、だそうで。
ただ、初期の頃はプールサイドに水鉄砲を設置していたそうです。

3. チャプチャプ
キッズプールより更に浅い、子供用のプール。
スプリングスは全ての浴槽で温泉水を使用していたそうですが、ここだけは幼児の肌に配慮して水道水を暖めて使っていたとのことです。

4. クアミッド
ピラミッドを半分にカットしたような形状で、湯船も三角形。
名前は「クアハウス」と「ピラミッド」からの造語でしょうか?
ここから流れ出た湯は細い川を通り、「奥の郷」へと流れていきます。

5. 展望風呂
アトリウムに面したスロープを登っていくと、コンクリート製の円筒内に設置されたジャグジー風呂に辿り着きます。
展望とは言いつつも、湯船に入るとアトリウムは見えなかったそうですが…。
これの狙いは「スロープを歩く客の姿をアトリウムから見てもらう」ことで、宣伝効果を期待したものだとか。

6. 打たせ湯
展望風呂のすぐ横にもう一本あった円筒の内部は打たせ湯でした。こちらはスロープではなく下部から入ります。
ただ、水しぶきが隣の人に当たったり、座面に当たった水が激しく跳ねるのを抑制する必要に迫られるなど、色々問題の多かった場所だったそうです。

7. ジャグジー
メインプール横にある、特に何の仕掛けも無い(と記憶している)円形のジャグジー風呂。
全体的に凄く凝った造りだったのに、ここだけちょっと普通だな…? と利用していた当時も思っていました。

8. ボディシャワー
円筒の内部に入ると、壁からお湯が凄い勢いで飛び出してくるアレです。
なかなか気持ち良かったのですが、タイルの表面に藻のような青い汚れが付くため、清掃は従業員泣かせだったとか。

9. バーカウンター
メインプールにやや張り出す状態で設置されたバーカウンター。
当初はここからメインプールに向けてフードやドリンクを出す計画だったのが、保健所の許可が出ずに設備だけが残ったという話です。
プール自体が欠けているわけではなく、水面すぐの高さの位置にせり出している状態なので、潜った状態からそこで浮上すると頭をぶつけます…(経験あり)。

ちょっと長くなりそうなので、今回はここまで。
次回はプール部分の後半です。
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貴重な情報
初めまして、ふとサッポロスプリングスがひどく懐かしくなって検索したら辿り着きました。
当時の写真はネット上にも殆ど無く(プールサイドはカメラ禁止だったみたいですね…)、今まで幼い頃の思い出に頼るしか無かったのでこの情報は大変有難いです。

成程、特徴的な形のモデルはテオティワカン遺跡だったのですね。
確かに露天風呂周りだとか特に遺跡っぽかったような記憶があります。
言われてみればあの幻想的な雰囲気は、遺跡イメージ由来だったのでしょうか。いずれにせよ当時の自分の情緒形成に大きな影響を与えたのは間違いないなあと思います(子供の記憶に残りやすいのかも知れません…)。
それにしても天井に吊り下がってたのは船だったとは…、実は自分もクジラだと思って見ていたクチです(笑)。

こういった雰囲気のプール施設は他に見かけないので、無くなってしまったのが本当に悔やまれます。願わくば大人になった今もう一度泳いでみたいものです…。

貴重な情報纏めて下さった管理人さん、当時の関係者の方、有難う御座いました。後半もひそかに楽しみにしております。
通りすがりのスプリングス好き 2016/01/22(Fri)22:28:27 編集
無題
初めまして。お越しいただきありがとうございます。
返信が遅くなってしまい申し訳ありません…。

私も本当にたまたま思い出して前の記事を書いてみたのですが、関係者の方がお越し下さって、色々と教えて頂けたのは本当に幸運でした。
スプリングス時代はカメラ禁止だったんですね? 道理で写真が無いわけです…。

気づいたらこの投稿からもうすぐ3か月ですか…。
これはもう2月中には必ず第2回分を更新せねばなりませんね。
なんとか…なんとかやります。
もしよろしければ、ぜひまたお越しください。
芹屋 2016/02/07(Sun)18:26:51 編集
かなり思い出しました
お久しぶりです。
以前、サッポロスプリングスに関する情報を提供した「元関係者」です。
ここまで正確にまとめて下さって本当に嬉しいです。
私はオープニングスタッフで当時は31歳、今は53歳になります。
サッポロスプリングスはマニアック過ぎたことと投資と経費が大き過ぎるという経営上の問題があり、長続きしませんでしたが、憶えていて下さった方がいらっしゃるだけで良かったです。
後半も楽しみにしています。

あ、上記7のジャグジーは、正式名称「ジェットリング」と言いました。
ジャグジーというのは商品名(固有名詞)なので使えなかったために榎本氏が命名しました。
YOKOSUKA 2016/02/16(Tue)23:16:34 編集
お久しぶりです
お久しぶりです。
こちらこそ、またお越しいただきありがとうございます。

スプリングスについてまた別な方がコメントをくださったのは、私もちょっとびっくりです(失礼…)。
その2に関しては本日更新予定です。
せっかく見て下さる方がいらっしゃるのに、広告が出るまで放置してしまい、こちらも申し訳ないです。

ところで、現在のスプリングスに関する権利というか商標関係というか、そういうのは一体どうなっているのでしょうね?
施設運営権と一緒に譲渡されたのか、あるいは今でもサッポロビール関係の会社にあるのか、はたまた施設名の消滅と同時に有耶無耶になってしまったのか。
ちょっと気になっているところです。
芹屋 2016/02/21(Sun)08:24:18 編集
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